G.A.マルグリス。ロシア人フィールズ賞受賞予定者だった人

ソビエトは優秀な人材をたくさん排出してきたエリート国家のイメージがあります。物理学、数学、そしてチェス(チェスに至ってはチャンピオンのほとんどがソビエト連邦の人で今年の挑戦者もロシア人だったので影響力は消えてないはずです。)しかし、ソビエトの学問って閉鎖されてる分独自の進化を遂げてるイメージがありますね、積分方程式の研究がめちゃくちゃ強かったってどっかで読んだ気がします。

で、マルグリスはSelberg予想解決を解決しました。Selberge予想というのは半単純なリー群(非可換)な群に求める話です。例えばSLn(R)にはモジュラー群SLn(Z)が不連続群です。R^2だと二つまでの基底を選んだZ係数ベクトル空間。みたいなものになります。モチベーションとしては不連続群があると保形形式ができます。保形形式は空間に群で割ったリーマン面上定義されたものです。で、ご存知ポアンカレ平面の一般化をしたのがCartanです(父親の方っぽいですね)(G-構造の記事でも出てきました。)彼は対称空間と呼ばれるものに運動群Gを考えました。Gはコンパクトな因子を持たず中心は単位元だけです。そこで半単群Gの不連続部分群ΓがXにコンパクト体積有限な領域を持つものを決定するのが重要な問題になるわけです。で、体積有限な基本領域をもつものを格子、コンパクトなとき一様な格子とよぶわけです。Xが対称空間の時の保形形式を始めて研究したのがSiegelで二次形式との関係性でSiegelモジュラー関数の研究を始めました(実は一様じゃない格子でした。Siegelは一様な格子を見つけるのは困難(できると思うけど複雑すぎる)だと思っていて、彼自身は幾何学的方法を望んでたみたいです。そこからこの問題は20年間(1950年までですね)あんまり手をつけられてませんでした(Siegelモジュラー関数の研究はそれなりに盛んだったみたいです)1950年はBorel Weil Chevalleyによって代数群の研究が活発になって不連続群の認識も深まります。それで実は不連続群はそんなにたくさんないのでは?と思われるようになりました。1960年にSelbergは三次元以上のSLn(R)の一様な格子の行列成分は全て代数的整数のような群に共役だということを証明しました。この頃から高次元の格子はモジュラー群のように全て整数論的に定義されるものしか存在しないと思われるようになりました。