代数多様体の分類問題

1.双有理写像

代数多様体は双有理同値で一致するもので分けられます。XとYが双有理同値とX、Yの関数体が同型なことは同値です。生成点(Generic point)上の構造層の茎です。この体は(体だと示してませんが体だと思っておいてください)体k上の有限型スキームの次元と関数体の超越次数は一致します。次に双有理写像を定義します。有理写像φとはX,Yを多様体としXの開集合U上の定義された射の同値類φU:X→Yで、V上の定義されたφV:X→YがUとVの共通部分で一致するなら同値です。またφUの像がYにおいて稠密であるときに支配的であるといいます。双有理同値とはその射がYからも伸びている場合をいいます。例えば、ニ組みの射影空間P1×P1とP2の関係性を調べる時、P1×P1はP2には必ずしも埋め込めません(Segre埋め込みによってP3には埋め込めます。)がこの二つの空間は双有理には同値になります。双有理射の方の例ですとblow up(爆発)があって、blow upによって映る代数多様体はお互いに双有理同値になります。この操作は二次元以上の双有理同値の多様体をいくらでも作ることができます。さて広中先生が証明したのは双有理幾何学で最も基本的になる定理です

定理1.標数0の任意の代数多様体でblow upを繰り返すことで必ず滑らかな代数多様体に辿り着ける。

これによって代数多様体の分類で非特異なものだけ考えればいいことがわかります。

2.標準環

標準環とはm-標準形式を全て集めた次数環のことです。これは双有理変換で変わらない重要な双有理不変量の一つで後です。非特異n次元複素多様体の余接束のn個の外積Kx=∧nT*xを標準形式といいこれはΣh(x)dx1∧dx2...∧dnのように表示されヤコビアンによって座標系を変えることができます。常に大域切断を持つとは限りませんが有理切断はもち局所的にωと書くことによって重複度含めて因子をdiv(ω)=ΣdiDiとかけます。n=1の時KXの大域切断の集合をH0(X,KX)としこの次元をg(X)=dimH0(X,KX)と書きこの数字を種数(genus)といいます。この辺はリーマンロッホ理論を勉強してたら既知だと思うんですが、これを高次元に一般化したいと思います。高次元では多重種数というものを考えれmを固定しm-標準形式といいm-標準形式はh(x)(dx1∧...dn)^⊗mで変換はヤコビアンのm乗となります。これの大域切断を集めたものはH0(X,mK)で表されm-種数とよばれます。これの直和全部合わせたものを標準環と呼びC上の超越次元-1を小平次元と呼びます。n次元多様体小平次元は-∞、0,1...nのいずれかの形をとります。例えば-∞だと射影直線、0だと楕円曲線、K3曲線、アーベル多様体、カラビヤウ多様体などがあります。(ところで射影直線と双有理同値な多様体を有理多様体と呼び多重含めた全ての正則微分形式が0となり微分形式での分類ができないようになってます。)(カラビヤウ多様体は標準束が自明のものです。)小平次元nの時一般型とよばれあまり重要な対象とされていませんが中間次元0<k(X)<dimXの時重要で、この時には変形をして小平次元0の場合に帰着でき本質的にXの構造の研究は小平次元0のものと変形となり、変形は連続分類なのでモジュライ空間と強く関わりがあります。

3.変形理論

変形理論は小平邦彦先生が創立したものです、代数多様体を変形するにはその方程式の係数を動かせばいいのですが具体的な方程式系の係数を動かそうとしても何本もあってわかりにくいので座標系によらない変形をコホモロジーによって記述したものです。コンパクト複素多様体X0にたいしてその変形族とは複素多様体間の正則写像X→Yであって余接束の間に単射同型f*:T*Y→T*Xを誘導して各点y上にファイバーXy=f^-1(y)がコンパクト複素多様体になってかつX0と同型になる点が存在することです。Yは変形の底空間でXは変形の全空間ですね。代数多様体の同型類を繋げて連続的な代数多様体を作ってます。底空間の次元をn、Xの次元をn+mとして局所座標系の貼り合わせを考えます、Uiの座標系を(Zi1...Zin,ti1...tin)とするとZj上にZjλ=f^λ(Zi1...Zin,ti1...tin)という関数があります。これをtに関する一次のテーラー展開を取ったものを無限小形とよびます。このベクトル場は自然にチェックコホモロジーと同一視できてこの線形写像を小平・Spencer写像といいます。ベクトル場のカッコ積を定義したらMの変形族が存在するならばコホモロジーのカッコ積が消えないといけないことがわかります。これ故このカッコ積は変形の障害といわれてます。逆に小平先生とSpencerはコホモロジーが二次元で消えると実際に複素解析族が存在することを証明しました。

 

おまけ

射影多様体は変形できないクラスみたいです。

 

参考にした本

数学の現在i

ハーツホーン代数幾何

小平邦彦の開いた数学 上野健

代数幾何 上野健