表現論1 ガウス和とルジャンドル多項式

表現論を使って初等整数論であるガウスの相互律とラプラス方程式の関係性について述べて行きたいと思います。前提知識は初等整数論調和解析、後は少しの幾何の知識です(初等整数論はあまりなくてもいけますがあったほうが内容にしたしくなれます。

 

 

1.球面上の多項式

 

S^n-1上のRに値を取る関数は

f:S^n-1→Rとなる写像のことですがこれはn変数の多項式を球面上に制限したものと一致しますこの集合をP(R^n)、P(S^n-1)となって環になります。写像の制限から短い完全系列

0→Kerρ→P(R^n)→P(S^n-1)→0 となります。(なんか式の雰囲気的にホモロジー代数的にいい解釈ができそうですね。もし名前があったら教えてください)

nで考えることは容易なのでここからn=2で続けます。f(x,y)=ΣAx^λy^μのx、yにcosθ、sinθを代入してすべて自然対数で考えるとF(θ)=Σce^ivθの形になります。この形はFourier展開と同じです。

n=3ならばf(x,y,z)=ΣAx^λy^μz^hとなりx,y,zに二次元球面の式を代入するとF(θ,φ)=ΣAsinθ^λ+μcosθ^hcos^λsinφ^μとなりn=2のときの指数関数の類似がわからなくなります。このために通常のR^3上の多項式P(R^3)=⊕Pl(R^3)とします。Plはl次の斉次式です。次にラプラシアンで消えるH(R^3)を同じようにH(R^3)=⊕Hl(R^3)とします。すると興味深いことにρ:P(R^3)→P(S^2)→0はH(R^3)に制限しても全射になります。(H(R^3)→P(S^2)→0。つまり球面上の多項式はすべて調和多項式から得られます。更に平面の調和関数と球面の調和関数の環は同型でP(S^2)=⊕Hl(S^2)となりPl(cosθ)、cosmφsinθ^mPl_m(cosθ) sinmφsin^mPl_m(cosθ)がHl(S^2)の基底となります(ここでPl_m=(d/dt)^mPでP=1/2^l*l!(d/dt)^l(t-1)^lです。

 

2.modPでのフーリエ変換

Gを位数Nの有限アーベル群だとしてG上で定義される関数全体をL(G)とかきます。これはC上ベクトル空間です。

定理1.Gが位数Nのアーベル群ならL(G)はN次元。

証明

特性関数fx(y)=δxyとして見るとこれが任意の関数を表すことはわかる(単に全てにその関数をかけたらいいだけ)独立はΣg(x)fx(x)=0とすればすべてのxに対して成り立つのでg(x)=0。

 

内積を(f,g)=Σx∈Gf(x)g(x)/N(ただし青文字のgはgの複素共役とします。この内積を持つ空間はヒルベルト空間となります。ここで指標を定義します

χ:G→C^☓

これは明らかに群です。そしてこの指標が今紹介したヒルベルト空間の正規直交基底となります。

証明

Gが巡回群の場合はポントリャーギン双対より同じ位数の巡回群になります。一般のアーベル群なら巡回群の直積(アーベル群の生成定理)と同型なので指標群全体も位数が同じ、よって次元が同じだとわかります。ここでχの性質を証明します。

命題1.

Σx∈G χ(x)=N(もしχが単位指標なら、それ以外なら0)

示すのは簡単ですべてのxについて和を取ってるのでA=Σχ(x)=Σχ(y)χ(x)=χ(y)Aなので成立します。これから直交性がさっきの内積で出ます。独立はΣcχ=0とすると0=(0,χ)=Σcχ'(χ',χ)=cχ'なので示されます。modpのフーリエ解析とはL(Fp+)L(Fp×)でのフーリエ変換で、それぞれ元はp個とp-1個です。なので制限写像を使うと完全系列が生まれ

0→Kerρ→L(Fp+)→L(Fp☓)→0となりKerではFp☓のすべての点で0になります。ここで加法的指標を制限して乗法的指標で書くことを考えます。ρ(φ)=Σcχ、cχ=(ρ(φ),χ)(各要素ごとに射影してる)となります。これは実は自然対数のテイラー展開によく似ています。φ(x+y)=φ(x)φ(y)、χ(xy)=χ(x)χ(y)でφ(x)=e^x、χn=x^nと考えれば一種のフーリエ展開となり係数は1/Γ(n)となります。この考えでcをガンマ関数のアナロジーと安直ながら考えてみます、e^xのmodpでのアナロジーはフェルマーの小定理よりξとなりますが自己双対性がなりたちます。なのでφ(x)=ξ^axでフーリエ係数cはΣx∈Fp☓ ξ^axχ(x)/p-1となります(青のχは複素共役です)これのp-1をなくし、複素共役を取らなくしたものをΣξ^axχ(x)としこれをガウス和と呼びます。

 

3.初等整数論

Z/Zpでは方程式ax^2+bx+cの解は判別式b^2-4acが非平方かつ0以外なら0個、平方かつ0以外なら2個、0なら1個です。(平方完成したらでます。)任意のこの方程式はx^2=aとなります。ここでルジャンドル指標を導入します

λ_p(a)={1,a∈(F_p×)^2、-1,a∉(F_p×)^2)}これはアーベル群の指標です。

証明

Fp×は巡回群なのでrを生成元として(原始元の存在と同値です。)a=r^ν(a)と書くとν(a)はmodp-1で決まるのでaが平方⇆ν(a)が偶数となり、λp(a)=(-1)^ν(a)です。またab=r^ν(ab)=r^ν(a)r^ν(b)=r^ν(a)+ν(b)よりν(ab)=ν(a)+ν(b)がわかります。従ってλp(ab)=(-1)^ν(ab)=(-1)^ν(a)+(-1)^ν(b)=λp(a)λp(b)となり指標となることが示せました。

定理1.第1充填補充則

λp(a)=a^(p-1)/2

(-1)^ν(a)=a^(p-1)/2を示したらよくてFp×でrは生成元だからr^p-1=1、p-1は偶数だからr^(p-1)/2=-1(位数p-1なので。)これをν(a)乗して(-1)^ν(a)=(r^(p-1)/2)^ν(a)=(r^ν(a))^(p-1/2)=a^(p-1)/2となり示せました。

λp(-1)=(-1)^(p-1)/2

定理2.

λp(2)=(-1)^(p^2-1)/8

証明

ξ=e^2πi/8とすると、ξ^4=-1よりξ^2+ξ^-2=0、τ=ξ+ξ^-1とするとτ^2=2、なのでτ^(p-1)=(τ^2)^(p-1)/2=2^(p-1)/2=λp(2)なのでλp(2)τ=τ^p=ξ^p+ξ^-pとなります。p=±1(mod8)の時はτとなり±3の時は-τとなります。そこでω=p^2-1/8とすれば(-1)^ωτ=λp(2)τにτをかけてみると題意が示されます。

 

定理3.ガウスの相互律

p、qを異なる素数とする時、p=(-1)^(p-1)/2として

λp(p)=λq(p*)

証明の前に、表現という目で見ると二つの違う素数が関係性をお互いに見出しそうとしてるように見えてすごく素敵じゃ無いですかね?不思議な関係性に見えます。ガウス和を用いた指標の証明です。

γ_a(χ)=Σχ(x)ξ^axをaとχによるガウス和と呼びます。ξがゼロでないとき

命題1.γ_a(x)=χ(a)γ(χ)(ここのχを複素共役の形にすること)となります。なぜならχ(a)γ_a(χ)=γ(χ)なので。なりたちます。

 

γ(χ)γ(χ(複素共役))=χ(-1)pで特にχ=λ_pならγ(λ_p)^2=p*

S=Σ|γ_a(χ)|^2=Σγ_a(χ)γ_a(χ)(γが共役)を二通りで計算して、1からχ(a)(共役)γ(χ)χ(a)γ(χ)(共役とすると)(p-1)|γ|^2

次にγ_a(χ)γ_a(χ)(共役)=Σχ(x)ξ^^axΣχ(y)(共役)ξ^-ax=Σχ(xy^-1)ξ^a(x-y)=(Σχ(xy^-1))(Σξ^a(x-y)-1)(最後の和はFp全体の和でそれ以外はFp×に関する和)ξは指標となってるのでx=yの時はp、それ以外は0で、χは単位指標じゃないのでΣχ(xy^-1)=(Σχ(x))(Σχ(y))(共役)=0だからS=pΣχ(1)=p(p-1)より二つの式を合わせたら|γ(χ)|^2=pとなります。γ(χ)(共役)=Σχ(x)共役ξ^-x=Σχ(-x)ξ^x=χ(-1)Σχ(x)(共役)ξ^x=χ(-1)γ(χ(共役))となります。第1充填補充則の系から示されます。

さて相互律の証明ですが、

γ(λp)^q-1=(γ(λp)^2)^(p-1)/2=p*^(q-1)/2=λ_q(p*)なので両方にγ(λp)をかけてγ(λp)^q=λq(p*)γ(λp)でガウス和の定義に戻ってγ(λp)^q=γ_q(λp)となりますので、λp(q)=λq(p*)となります。(命題1を使いました。)

ガウス和(正確にはヤコビ和)の応用に作図問題があります。円と直線を組み合わせてどの点が作図可能かです。平面に{0,1}があれば有理数をすべて作図できることは簡単にわかります(三角形の相似を使います。)で方程式の解から(円の方程式と直線の方程式の交点から)作図可能な点は2^n次代数拡大だとわかります。

ヤコビ和を導入します。J(χ,φ) =Σχ(x)φ(y)でx+y=1の成分全部にとってます。これはガウス和でγ(χ)γ(φ)/γ(χφ)となります(簡単に計算したらわかります。ヤコビ和は指標χに対してγ^m(χ)=χ(-1)J(χ,χ)...J(χ,χ^m-1)という式にまとめられます(簡単なので書きません)

ここでヤコビ和を用いた重要な定理を書きます。

定理.2以外の素数でξp=e^2πi/pでξpが作図可能⇆pがフェルマー

→は自明なので←を証明します。

γ(χ)=Σχ(x)ξ^xで、すべての指標についてガウス和を取るとΣγ(χ)=ΣΣχ(x)ξ^xとなります。ここでxについてのχの和を取るとかΣχ(x)={p-1 x=1、0 それ以外}となります。(GとGの指標の双対性を利用した方法です。Gの指標の双対はGなので。)Σγ(χ)=(p-1)ξpとなりガウス和の作図可能性がξの作図可能性に言い換えることに成功しました。単位指標とルジャンドル指標については作図可能は自明に言えます。ルジャンドル指標は唯一の位数2の元です。ところでヤコビ和は乗法的指標しか定義に使ってないのでJ(χ,χ^j)ふくむQ(ξp-1)=Q(ξ2^m)で作図可能。Fp×の双対は位数p-1の巡回群なので各χの位数は2のナントカ乗です。これとさっきの積公式を使えばヤコビ和は作図可能なので同様にガウス和の作図可能も言えます。

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