代数多様体の分類問題

1.双有理写像

代数多様体は双有理同値で一致するもので分けられます。XとYが双有理同値とX、Yの関数体が同型なことは同値です。生成点(Generic point)上の構造層の茎です。この体は(体だと示してませんが体だと思っておいてください)体k上の有限型スキームの次元と関数体の超越次数は一致します。次に双有理写像を定義します。有理写像φとはX,Yを多様体としXの開集合U上の定義された射の同値類φU:X→Yで、V上の定義されたφV:X→YがUとVの共通部分で一致するなら同値です。またφUの像がYにおいて稠密であるときに支配的であるといいます。双有理同値とはその射がYからも伸びている場合をいいます。例えば、ニ組みの射影空間P1×P1とP2の関係性を調べる時、P1×P1はP2には必ずしも埋め込めません(Segre埋め込みによってP3には埋め込めます。)がこの二つの空間は双有理には同値になります。双有理射の方の例ですとblow up(爆発)があって、blow upによって映る代数多様体はお互いに双有理同値になります。この操作は二次元以上の双有理同値の多様体をいくらでも作ることができます。さて広中先生が証明したのは双有理幾何学で最も基本的になる定理です

定理1.標数0の任意の代数多様体でblow upを繰り返すことで必ず滑らかな代数多様体に辿り着ける。

これによって代数多様体の分類で非特異なものだけ考えればいいことがわかります。

2.標準環

標準環とはm-標準形式を全て集めた次数環のことです。これは双有理変換で変わらない重要な双有理不変量の一つで後です。非特異n次元複素多様体の余接束のn個の外積Kx=∧nT*xを標準形式といいこれはΣh(x)dx1∧dx2...∧dnのように表示されヤコビアンによって座標系を変えることができます。常に大域切断を持つとは限りませんが有理切断はもち局所的にωと書くことによって重複度含めて因子をdiv(ω)=ΣdiDiとかけます。n=1の時KXの大域切断の集合をH0(X,KX)としこの次元をg(X)=dimH0(X,KX)と書きこの数字を種数(genus)といいます。この辺はリーマンロッホ理論を勉強してたら既知だと思うんですが、これを高次元に一般化したいと思います。高次元では多重種数というものを考えれmを固定しm-標準形式といいm-標準形式はh(x)(dx1∧...dn)^⊗mで変換はヤコビアンのm乗となります。これの大域切断を集めたものはH0(X,mK)で表されm-種数とよばれます。これの直和全部合わせたものを標準環と呼びC上の超越次元-1を小平次元と呼びます。n次元多様体小平次元は-∞、0,1...nのいずれかの形をとります。例えば-∞だと射影直線、0だと楕円曲線、K3曲線、アーベル多様体、カラビヤウ多様体などがあります。(ところで射影直線と双有理同値な多様体を有理多様体と呼び多重含めた全ての正則微分形式が0となり微分形式での分類ができないようになってます。)(カラビヤウ多様体は標準束が自明のものです。)小平次元nの時一般型とよばれあまり重要な対象とされていませんが中間次元0<k(X)<dimXの時重要で、この時には変形をして小平次元0の場合に帰着でき本質的にXの構造の研究は小平次元0のものと変形となり、変形は連続分類なのでモジュライ空間と強く関わりがあります。

3.変形理論

変形理論は小平邦彦先生が創立したものです、代数多様体を変形するにはその方程式の係数を動かせばいいのですが具体的な方程式系の係数を動かそうとしても何本もあってわかりにくいので座標系によらない変形をコホモロジーによって記述したものです。コンパクト複素多様体X0にたいしてその変形族とは複素多様体間の正則写像X→Yであって余接束の間に単射同型f*:T*Y→T*Xを誘導して各点y上にファイバーXy=f^-1(y)がコンパクト複素多様体になってかつX0と同型になる点が存在することです。Yは変形の底空間でXは変形の全空間ですね。代数多様体の同型類を繋げて連続的な代数多様体を作ってます。底空間の次元をn、Xの次元をn+mとして局所座標系の貼り合わせを考えます、Uiの座標系を(Zi1...Zin,ti1...tin)とするとZj上にZjλ=f^λ(Zi1...Zin,ti1...tin)という関数があります。これをtに関する一次のテーラー展開を取ったものを無限小形とよびます。このベクトル場は自然にチェックコホモロジーと同一視できてこの線形写像を小平・Spencer写像といいます。ベクトル場のカッコ積を定義したらMの変形族が存在するならばコホモロジーのカッコ積が消えないといけないことがわかります。これ故このカッコ積は変形の障害といわれてます。逆に小平先生とSpencerはコホモロジーが二次元で消えると実際に複素解析族が存在することを証明しました。

 

おまけ

射影多様体は変形できないクラスみたいです。

 

参考にした本

数学の現在i

ハーツホーン代数幾何

小平邦彦の開いた数学 上野健

代数幾何 上野健

代数幾何入門

場の量子論の入門について少しタイプしたんですけど自分の納得の行くものではなくて下書きのままとなってしまってます。久々の更新ですがintuitiveな代数幾何のモチベーションの話と行きます。代数幾何というのは代数方程式の解の形を調べるものです。線形代数的な話だと解の形は直線、平面…ですよね。これの複雑なやつです。一つ例を出しましょう。

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楕円曲線ですね。x1が2n以下の整数のときは解が1つでそれ以外は2つですね、整数以外のときは2つの複素数に対応するので2つの複素数平面が必要です。それでその解は全然別物では無くて原点を中心に2π度回転すると入れ替わるものですね。リーマン面をイメージしてくれたらわかりやすいです。2つの複素数平面を整数のところで同一視したものが対応しそうです([1,2],...,[2n−1,2n]を切ったやつですね。3のときこんな図形になります

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更に複素数平面をコンパクト化すると

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種数2の図形となっちゃいます。(前回とは切ってるところが違います。)コンパクト化って要するに射影化ですね。

じゃあもし上の方程式に一つの(x1-n)のnをn+1に置き換えて重解があったらどうでしょう?重解があったらその解の周りの微分係数は0となります。なのでヤコビ行列の階数が低くなります。今のは解析的な説明でしたが幾何的に言うと2つの整数が近づいて同じになったらどうなっちゃうの〜ってことです。一点でギリギリ繋がってる状態ですね。この点を特異点と言います。

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 では一般的な場合はどうするか?という話ですがここでfをd次の多項式と考えます。

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このfについての式が十分に一般的だったら解けません。が先見たように特異点があっても種数が変わらないのでd個の線形方程式の積と考えます。

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これをコンパクト化したものを射影平面で書くとこうなります。

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Bezoutの定理により射影曲線の中のどの二点も交差しますね。2つの円の選び方はnC2通りでつながっています。しかしd-1個は全部の図形をくっつけるために使われるので種数は(d-1)(d-2)/2個となります。さっきの超楕円曲線の例は特異点が分岐してるので適応できません。

 ここまで代数幾何の話をしてきましたが多項式ばっかり調べてて一般性が低いのでは?と思われるかもしれません。しかしコンパクトの複素射影代数多様体はケーラー多様体になり複素多様体として調べることができますし(フビニスタディ計量が入ってますね)逆にケーラー多様体(の特別なホッジ多様体)は周の補題と小平の埋め込み定理により代数多様体になります。これの何が嬉しいのかというと弦理論では素粒子は点では無く一次元の大きさを持った紐だと解釈されるらしいんですが(大きさがあることによって相互作用がある程度打ち消されて重力のくりこみが可能になると聞いたことがあります)その紐がいる世界はどちらかと言えば複素解析的な世界で、それは代数方程式で表せられるものらしいです。GAGAってやつですね。一番簡単な例だとコンパクト化された複素数平面の自己同型射は有理関数(有理型関数ではないです)で2つの多項式の比として表せられます。で、その中でも一番代数幾何と関係が深い分野は数え上げ幾何学と呼ばれてるもので、例えばどんな問題があるのかというと

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この複素4次元の空間にいくつ直線が存在するか?というもので(イメージ湧きにくいと思うんで実三次元に射影したもので話すと

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こうなるんですが(多少位相的に不正確です)、この図形には式によって変わらず27個の直線が存在するそうです。

オチはありません

G-構造(群コホモロジー、幾何学的構造)

クライン流の視点をリーマン幾何を含む形で拡張したものがCartanのG構造の幾何です。ユークリッド空間R^nとそれに作用するリー群Gの組(G,R^n)に対しn次元多様体MのG構造とはMの接束TMの構造群GL(n,R)のGへの簡約のことです。つまりMの開被覆を取って接束TMを自明束の貼り合わせとして表すときに変換関数の値をGにとることです、スピン群のようにGL(n,R)の部分群出ない場合は持ち上げる形になります、代表的なのがG=GL+(n,R)、O(n),GL(n/2,C)がありそれぞれ向き付けられた多様体、リーマン多様体、概複素多様体となります、G構造はテンソル場によって特徴付けられてそれはそれぞれ体積形式(どこでもゼロにならない最高次の微分形式)、リーマン軽量(至る所正定値な2階の対称テンソル)、概複素構造となります、更に重要な概念が積分可能性でリーマン多様体が平坦なのはリーマン曲率テンソルがゼロのときで概複素構造が積分可能なときはNIJENUISテンソルがゼロのときです。(リーマン多様体がR^nの開集合を等長写像で貼り合わせれるとき平坦多様体とよばれます、複素多様体はC^nと双正則な写像で貼り合わせて得られます(双正則は微分同相に比べると硬いですが等長よりは柔らかいです。

ここで話を変えてG-集合の話にします、(特にG-群)Γを任意の群としてφ:G×Γ→ΓであるがΓは群なので群構造を反映させるためにφ(s,xy)=φ(s,x)φ(s,y)を加えこれをG-群と言います、これの不動点を0次のコホモロジー集合と呼びます。(なぜそう呼ぶのかは少し後に説明します)コサイクルを導入して写像 c:G→Γがコサイクルとはc(s)(s)・c(t)とし共役類に入ってたらコサイクルの同値とする。コサイクルの集合を一次のコホモロジーと呼びます。群作用が自明なときH0(G,Γ)=Γでc(st)=c(t)となり準同型の写像と一致します。

G-加群はアーベル群に定義される加群で集合は圏となるので(射はf(gx)=g(f(x))と(群の要素gと加群の要素xについて定義されます)MからG不変のMの集合への射はG-加群からアーベル群への関手を定義します。

コチェイン複体で定義するとd^n+1:Cn(G,M)→Cn+1(G,M)で、Cn(G,M)とはG^nからMへのすべての写像で(ただしn=0のときはM自身)d^n+1(φ(g1…gn+1))=g1φ(g2…gn+1)+Σ(-1)^iφ(g1…gi-1,gi+1…gn+1)+(-1)^n+1^φ(g1…gn)でこれはちゃんとしたコチェイン複体になってます。確かにこの定義だと不動点になりますね。

後EXT関手でも定義されるみたいです。群環Z[G]を左G-加群だと見なして長完全系列

Z[G^i]→Z[G^i-1]…→Zをd:(g1…gn)→Σ(-1)^i(g1…gi-1,gi+1…gn)^)が作れて、更に

Z[G]加群N,Mに関してHomG(N,M)はアーベル群でHom(-,A)は矢印の向きを保存する反変関手

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こういう完全系列が作れて、H^n(G,M)=H^n(Hom(Z[G],M))=Ext(Z,M)と定義できます。(これは一般の射影加群にも定義されます。

Hom(Z[G],A)とC^n(G,M)は同型です。ガロアコホモロジーは群コホモロジーの一種です(連続な、Kurll位相の入ったやつです。群ホモロジーなる概念もあるそうですがこれはTorで定義される見たいですね。

ところで最近表現論とHopf代数について勉強したんですがまだ記事にできてません。頑張って記事にしなければ。(メモですけどHopf代数も群環ですね、大事な概念っぽいです

とここからは具体的な対称で話したいと思います

lを奇素数としてξ=e^2πi/lとしK=Q(ξ)、R=OkをKの整数環、GをK/Qのガロア群としてみます。R=Z[ξ]≡Z^l-1でG≡Fl☓なのでs・ξ=ξ^sがなりたちます。でガロア群の作用はルジャンドル指標には自明なのでルジャンドル指標はG-群のコサイクルとなり、0次コホモロジーはMc={x∈R;x=λl(x)}となります、そこでx=Σxtξ^tと書いてsを作用させるとs・x=Σxtξ^st=Σxs^-1tξ^tとなります。ここでx∈Mc、cをルジャンドル指標とするとΣxtξ^t=x=λl(s)=Σλl(s)xs^-1tξ^tとなりxt=λl(s)xs^-1tとなってs=tと置けばxt=λ(t)x1となります。同様にしていくとx=x1Σλl(t)ξ^tでガウス和になりますね。ということでガウス和もある種の「保型性」を持つことがわかります。

じゃあ本物の保型関数のようなものの例としてモジュラー群を考えます。Hを上半平面、R=O(H)(Hで定義された正則関数の環とします)で群の作用をs・x(τ)=x(s^-1τ)=x(aτ+b/cτ+d)で決めます。c(s)=1/(cτ+d)^4はコサイクルとなります(計算してみたらわかります)で、このコサイクルでのガウス和の類似はアイゼンシュタイン級数のもっとも簡単なものとなります。別のコサイクルからテータ関数も出てきます。この2つの和のアイデアを統一したものがポアンカレ和と言われるものになります。

 

表現論1 ガウス和とルジャンドル多項式

表現論を使って初等整数論であるガウスの相互律とラプラス方程式の関係性について述べて行きたいと思います。前提知識は初等整数論調和解析、後は少しの幾何の知識です(初等整数論はあまりなくてもいけますがあったほうが内容にしたしくなれます。

 

 

1.球面上の多項式

 

S^n-1上のRに値を取る関数は

f:S^n-1→Rとなる写像のことですがこれはn変数の多項式を球面上に制限したものと一致しますこの集合をP(R^n)、P(S^n-1)となって環になります。写像の制限から短い完全系列

0→Kerρ→P(R^n)→P(S^n-1)→0 となります。(なんか式の雰囲気的にホモロジー代数的にいい解釈ができそうですね。もし名前があったら教えてください)

nで考えることは容易なのでここからn=2で続けます。f(x,y)=ΣAx^λy^μのx、yにcosθ、sinθを代入してすべて自然対数で考えるとF(θ)=Σce^ivθの形になります。この形はFourier展開と同じです。

n=3ならばf(x,y,z)=ΣAx^λy^μz^hとなりx,y,zに二次元球面の式を代入するとF(θ,φ)=ΣAsinθ^λ+μcosθ^hcos^λsinφ^μとなりn=2のときの指数関数の類似がわからなくなります。このために通常のR^3上の多項式P(R^3)=⊕Pl(R^3)とします。Plはl次の斉次式です。次にラプラシアンで消えるH(R^3)を同じようにH(R^3)=⊕Hl(R^3)とします。すると興味深いことにρ:P(R^3)→P(S^2)→0はH(R^3)に制限しても全射になります。(H(R^3)→P(S^2)→0。つまり球面上の多項式はすべて調和多項式から得られます。更に平面の調和関数と球面の調和関数の環は同型でP(S^2)=⊕Hl(S^2)となりPl(cosθ)、cosmφsinθ^mPl_m(cosθ) sinmφsin^mPl_m(cosθ)がHl(S^2)の基底となります(ここでPl_m=(d/dt)^mPでP=1/2^l*l!(d/dt)^l(t-1)^lです。

 

2.modPでのフーリエ変換

Gを位数Nの有限アーベル群だとしてG上で定義される関数全体をL(G)とかきます。これはC上ベクトル空間です。

定理1.Gが位数Nのアーベル群ならL(G)はN次元。

証明

特性関数fx(y)=δxyとして見るとこれが任意の関数を表すことはわかる(単に全てにその関数をかけたらいいだけ)独立はΣg(x)fx(x)=0とすればすべてのxに対して成り立つのでg(x)=0。

 

内積を(f,g)=Σx∈Gf(x)g(x)/N(ただし青文字のgはgの複素共役とします。この内積を持つ空間はヒルベルト空間となります。ここで指標を定義します

χ:G→C^☓

これは明らかに群です。そしてこの指標が今紹介したヒルベルト空間の正規直交基底となります。

証明

Gが巡回群の場合はポントリャーギン双対より同じ位数の巡回群になります。一般のアーベル群なら巡回群の直積(アーベル群の生成定理)と同型なので指標群全体も位数が同じ、よって次元が同じだとわかります。ここでχの性質を証明します。

命題1.

Σx∈G χ(x)=N(もしχが単位指標なら、それ以外なら0)

示すのは簡単ですべてのxについて和を取ってるのでA=Σχ(x)=Σχ(y)χ(x)=χ(y)Aなので成立します。これから直交性がさっきの内積で出ます。独立はΣcχ=0とすると0=(0,χ)=Σcχ'(χ',χ)=cχ'なので示されます。modpのフーリエ解析とはL(Fp+)L(Fp×)でのフーリエ変換で、それぞれ元はp個とp-1個です。なので制限写像を使うと完全系列が生まれ

0→Kerρ→L(Fp+)→L(Fp☓)→0となりKerではFp☓のすべての点で0になります。ここで加法的指標を制限して乗法的指標で書くことを考えます。ρ(φ)=Σcχ、cχ=(ρ(φ),χ)(各要素ごとに射影してる)となります。これは実は自然対数のテイラー展開によく似ています。φ(x+y)=φ(x)φ(y)、χ(xy)=χ(x)χ(y)でφ(x)=e^x、χn=x^nと考えれば一種のフーリエ展開となり係数は1/Γ(n)となります。この考えでcをガンマ関数のアナロジーと安直ながら考えてみます、e^xのmodpでのアナロジーはフェルマーの小定理よりξとなりますが自己双対性がなりたちます。なのでφ(x)=ξ^axでフーリエ係数cはΣx∈Fp☓ ξ^axχ(x)/p-1となります(青のχは複素共役です)これのp-1をなくし、複素共役を取らなくしたものをΣξ^axχ(x)としこれをガウス和と呼びます。

 

3.初等整数論

Z/Zpでは方程式ax^2+bx+cの解は判別式b^2-4acが非平方かつ0以外なら0個、平方かつ0以外なら2個、0なら1個です。(平方完成したらでます。)任意のこの方程式はx^2=aとなります。ここでルジャンドル指標を導入します

λ_p(a)={1,a∈(F_p×)^2、-1,a∉(F_p×)^2)}これはアーベル群の指標です。

証明

Fp×は巡回群なのでrを生成元として(原始元の存在と同値です。)a=r^ν(a)と書くとν(a)はmodp-1で決まるのでaが平方⇆ν(a)が偶数となり、λp(a)=(-1)^ν(a)です。またab=r^ν(ab)=r^ν(a)r^ν(b)=r^ν(a)+ν(b)よりν(ab)=ν(a)+ν(b)がわかります。従ってλp(ab)=(-1)^ν(ab)=(-1)^ν(a)+(-1)^ν(b)=λp(a)λp(b)となり指標となることが示せました。

定理1.第1充填補充則

λp(a)=a^(p-1)/2

(-1)^ν(a)=a^(p-1)/2を示したらよくてFp×でrは生成元だからr^p-1=1、p-1は偶数だからr^(p-1)/2=-1(位数p-1なので。)これをν(a)乗して(-1)^ν(a)=(r^(p-1)/2)^ν(a)=(r^ν(a))^(p-1/2)=a^(p-1)/2となり示せました。

λp(-1)=(-1)^(p-1)/2

定理2.

λp(2)=(-1)^(p^2-1)/8

証明

ξ=e^2πi/8とすると、ξ^4=-1よりξ^2+ξ^-2=0、τ=ξ+ξ^-1とするとτ^2=2、なのでτ^(p-1)=(τ^2)^(p-1)/2=2^(p-1)/2=λp(2)なのでλp(2)τ=τ^p=ξ^p+ξ^-pとなります。p=±1(mod8)の時はτとなり±3の時は-τとなります。そこでω=p^2-1/8とすれば(-1)^ωτ=λp(2)τにτをかけてみると題意が示されます。

 

定理3.ガウスの相互律

p、qを異なる素数とする時、p=(-1)^(p-1)/2として

λp(p)=λq(p*)

証明の前に、表現という目で見ると二つの違う素数が関係性をお互いに見出しそうとしてるように見えてすごく素敵じゃ無いですかね?不思議な関係性に見えます。ガウス和を用いた指標の証明です。

γ_a(χ)=Σχ(x)ξ^axをaとχによるガウス和と呼びます。ξがゼロでないとき

命題1.γ_a(x)=χ(a)γ(χ)(ここのχを複素共役の形にすること)となります。なぜならχ(a)γ_a(χ)=γ(χ)なので。なりたちます。

 

γ(χ)γ(χ(複素共役))=χ(-1)pで特にχ=λ_pならγ(λ_p)^2=p*

S=Σ|γ_a(χ)|^2=Σγ_a(χ)γ_a(χ)(γが共役)を二通りで計算して、1からχ(a)(共役)γ(χ)χ(a)γ(χ)(共役とすると)(p-1)|γ|^2

次にγ_a(χ)γ_a(χ)(共役)=Σχ(x)ξ^^axΣχ(y)(共役)ξ^-ax=Σχ(xy^-1)ξ^a(x-y)=(Σχ(xy^-1))(Σξ^a(x-y)-1)(最後の和はFp全体の和でそれ以外はFp×に関する和)ξは指標となってるのでx=yの時はp、それ以外は0で、χは単位指標じゃないのでΣχ(xy^-1)=(Σχ(x))(Σχ(y))(共役)=0だからS=pΣχ(1)=p(p-1)より二つの式を合わせたら|γ(χ)|^2=pとなります。γ(χ)(共役)=Σχ(x)共役ξ^-x=Σχ(-x)ξ^x=χ(-1)Σχ(x)(共役)ξ^x=χ(-1)γ(χ(共役))となります。第1充填補充則の系から示されます。

さて相互律の証明ですが、

γ(λp)^q-1=(γ(λp)^2)^(p-1)/2=p*^(q-1)/2=λ_q(p*)なので両方にγ(λp)をかけてγ(λp)^q=λq(p*)γ(λp)でガウス和の定義に戻ってγ(λp)^q=γ_q(λp)となりますので、λp(q)=λq(p*)となります。(命題1を使いました。)

ガウス和(正確にはヤコビ和)の応用に作図問題があります。円と直線を組み合わせてどの点が作図可能かです。平面に{0,1}があれば有理数をすべて作図できることは簡単にわかります(三角形の相似を使います。)で方程式の解から(円の方程式と直線の方程式の交点から)作図可能な点は2^n次代数拡大だとわかります。

ヤコビ和を導入します。J(χ,φ) =Σχ(x)φ(y)でx+y=1の成分全部にとってます。これはガウス和でγ(χ)γ(φ)/γ(χφ)となります(簡単に計算したらわかります。ヤコビ和は指標χに対してγ^m(χ)=χ(-1)J(χ,χ)...J(χ,χ^m-1)という式にまとめられます(簡単なので書きません)

ここでヤコビ和を用いた重要な定理を書きます。

定理.2以外の素数でξp=e^2πi/pでξpが作図可能⇆pがフェルマー

→は自明なので←を証明します。

γ(χ)=Σχ(x)ξ^xで、すべての指標についてガウス和を取るとΣγ(χ)=ΣΣχ(x)ξ^xとなります。ここでxについてのχの和を取るとかΣχ(x)={p-1 x=1、0 それ以外}となります。(GとGの指標の双対性を利用した方法です。Gの指標の双対はGなので。)Σγ(χ)=(p-1)ξpとなりガウス和の作図可能性がξの作図可能性に言い換えることに成功しました。単位指標とルジャンドル指標については作図可能は自明に言えます。ルジャンドル指標は唯一の位数2の元です。ところでヤコビ和は乗法的指標しか定義に使ってないのでJ(χ,χ^j)ふくむQ(ξp-1)=Q(ξ2^m)で作図可能。Fp×の双対は位数p-1の巡回群なので各χの位数は2のナントカ乗です。これとさっきの積公式を使えばヤコビ和は作図可能なので同様にガウス和の作図可能も言えます。

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セルバーグ跡公式について

1.ポアソン和公式

 

セルバーグ跡公式とは非可換なポアソン和公式です。f:id:deep_blueiIBM:20170326202847p:imageポアソン和を説明してるイカ娘の画像
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という風にまあポアソン和公式はスゴイ公式をかんたんに見つけれる公式です。代数的整数論ゼータ関数関連でもよく使われます(この記事はゼータ関数関係なんですけど残念ながら代数的な整数論じゃないんですね〜(解析的整数論でもない、強いて言うならゼータ関数論)で、このポアソン和公式は数論ではたくさんの派生があるんですね、例えばFourier解析の自然な一般化で局所コンパクトアーベル群でのポアソン和公式とか、でそれのある到達点がセルバーグ跡公式なわけです。(数学にありがちなんですが一般化が始まった時点で終わりじゃなくて新たな始まりなんですね)(余談ですがセルバーグがコンパクトな双曲曲面の跡公式を出したのが1956年でヤンミルズ場の方程式が出たのが1954年で近いんですよね、この時期に非可換な群を応用する動きが始まって来たと考えたら感慨深いです。ポアソン和公式もマクスウェル方程式も19世紀ですよね。人類の偉大な進捗が感じれて感慨深いです。

 

ポアソン和公式とはそもそもなんじゃ?って話になると思うんですが(えっ?もしかするとならない??)これは無限次元の行列で(対角成分の和)=(固有値の和)をやったものです。というわけで一度ポアソン和公式とか跡公式とか全部忘れて行列の話にしましょう♪

 

2.無限次元行列の跡公式

有限次元だとあまり面白みがない例しかないので無限次元行列で具体的な跡公式の例を考えましょう。有限体F_pの代数閉包に作用するp乗フロベニウス写像にどう作用するかを考えます。f:id:deep_blueiIBM:20170326232516j:image

これは一般の素数べき元体にも言えます。つまりF_p^2体は{A^2の固定点の集合}と考えれます。xをAでの固定点では無いと考えるとある最小多項式を考えれてそれにフロベニウス写像を考えると固定点では無いという過程より共役元に移ったと考えれてるって議論ですね。位数2の巡回群をベクトル空間だと考えて行列で表すとこうなります。

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対角成分をZで表します

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これを3の時も同様に考えていくと最終的にAの雰囲気がわかってくると思います。これの対角成分との和と固有値の和が等しいことを示したいんですが、それを説明する前に少し脱線してヴェイユ予想の話をしたいと思います。(すぐ終わります。ラマヌジャン予想とヴェイユ予想は「いつもは難解な代数側の問題を解析側に翻訳して解いてたけど今回は解析の難解な問題を代数側で解いた。」というラングランズ哲学的に重要な話です。この跡公式はラマヌジャン予想とヴェイユ予想の類似がわかりやすくでてます。)それはゼータ関数の極、ゼロ点の固有値解釈です。

 

2.5 固有値解釈

ゼータ関数の極やゼロ点を固有値だと初めて解釈したのはポリヤだと言われてます(あの名著「いかにして問題を解くか」の著者です。)

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 で、この人は「あるエルミート作用素を見つけることによってリーマン予想を解決できるんじゃね?」ってことを考えました。具体例としては合同ゼータ関数の行列表示ですね。この場合はフロベニウス作用素がエルミート作用素の代わりになってます。

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Euler積っぽいですね〜

この考え方を抽象化したのが力学系ゼータ関数になりフロベニウス作用素が置換行列になってて、別の表示だとζ_σ(a)=exp(Σ|Fix(σ^m)|e^-ms/m)=det(I-M(σ)e^-s)^-1となります。合同ゼータ関数と比べてみるとζ_A(s)=exp(Σ|Hom(A,F_p^m)|p^-ms/m)...似てる気がする?...(ちなみに固定点はトレースを使って表されるみたいです。今議論してるのはp乗フロベニウス写像なので固定点がトレースに一致する話と同じですね、これがさらに一般化されてLefshetz trace fomulaになったりするんでしょうか)

 

 閑話休題、話を戻して、フロベニウス作用素のトレース和がpなことはすぐに分かります。固有値は普通det(λI-A)の解の方を言うんですが今回は逆数をuと置きdet(I-Au)=Πdet(I_jk(j)-Aju)=Πdet(I_j-Z_ju)^k(j)なので固有値は1のj乗根となり固有値の和もpとなり等式が成立します。(k(j)はj次のF_p上既約な多項式の数のことです。)

 

ポアソン和公式を無限次元の行列の跡公式だと考えましょう。まず縦ベクトルを連続無限次元にしたら一変数の関数になります(一変数の関数にベクトルが対応するイメージ)すると二変数の関数が行列になるのがわかります。

Lf(z)=∫k(z,z')f(z')dz'の積分作用素を考えます。ここでkに条件をつけます。ちなみに積分範囲は不変被覆空間全体です。

「1.k(z,z')ら差z-z'のみによる(つまりある一変数関数で表される)

2.k(z,z')はΓ-不変。つまりk(z,z')=k(gz,gz')

3.fもΓ-不変」

条件1.はLを行列と考えるとAの成分がi-jのみによると言い換えることができます。hが偶関数なら対称行列です。

条件2.と3.は不変被覆空間上の関数であるだけでなく基本領域上の関数であると言い換えれます。(ここでは不変被覆空間を基本群で割ったものを基本領域と定義します。)基本領域の元zと基本群の元を用いて不変被覆空間の元は一意にz'=γzと表されるので元の式はLf(z)=Σγ∈Γ∫k(z,γz')f(γz')dz'となります。そして基本領域上ではz~γzなので対角成分の和はz=z'に限定した和となります。

ここで不変被覆空間をR、基本群をZとするとΣγ∈Z∫1_0k(z,z+γ)となり条件1よりk(z,z+γ)=h(γ)なので積分zによらずΣh(γ)となります。固有値はhの全体の和をフーリエ展開して適当な計算したらf(x)=e^-2πimzが固有関数だとわかるので一番初めの和公式の議論を使えばポアソン和公式がでます。これが跡公式としての和公式です。

 

3.セルバーグ跡公式

Γ⊂SL(2,R)で群モジュラー群の作用を定義して、X内に固定点を持つ行列を楕円型(おっきい文字)とし(判別式が負、-2<a+d<2と同値)X内に固定点を持たないで境界である実軸内に二つの固定点を持つのを双極型と言い(判別式が正、|a+d|>2と同値)それ以外を放物型といいます。(ただし単位行列とその-1倍は除きます)ここで群に関する命題があります。

定理n 基本領域が面積有限とすると部分群Γが持つ元と基本領域の間には次の関係が成り立つ。

Γは必ず双曲の元をもつ

楕円形の元を持たなければ基本領域は滑らかである

放物型の元をもてば基本領域はコンパクトでない。

 

ということで今回は簡単のため双曲型の元しか持たない群を考えます。

後X(空間)についても制約を課します。Xは複素上半平面で二点間の距離を

 log*1とします。この距離では二点間を結ぶ最短経路が中心が実軸上にある円周となります。こっからの仕組みは少しわかりませんが(メモとして)u(d)=coshd-1/2に距離関数を入れると|z-w|^2/4ImzImwと綺麗に表せるらしいです。なのでさっきの跡公式の条件でいう二点間の差をこっちで定義して(単調増加関数であるからdの大小をこっちでも測れるみたいです、見た感じx軸が小さいところでは見た目より長く、x軸が大きいところでは見た目より小さく定義されみたいです)hの関数に入れるみたいです。(詳しくはこれを読むこと)https://www.google.com/amp/s/thatsmaths.com/2013/10/11/poincares-half-plane-model/amp/ 

 

 

 

4.セルバーグ・ゼータ関数とセルバーグ予想

*1:|z-w*|+|z-w|)/(|z-w*|-|z-w|